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2006年6月23日 (金)

市会議員のWeb名誉毀損

Matimublogに市会議員のWeb名誉毀損という記事がありました。

東京地判平成18年6月7日

市議会議員が市議会一般質問の内容及びこれに基づく議員の見解を広報し及びウェブサイトに掲載した記事につき、原告らの社会的評価を低下させるものと認定し、記事の大部分について真実性・相当性の抗弁が成立しないほか、市議会議員であることによる免責も認められないとして、名誉毀損の成立を認めた事例

大まかな経緯
 映画「折り梅」の製作資金について、愛知県豊明市が平成12年12月議会で、同映画製作実行委員会を通じて原告映画製作会社に補助金交付を決定した。
製作会社からは収益の1/3を実行委員会に配当、それを市へ寄付してもらうことで返還を受けることにした。
その収支報告に疑念をいだいた被告は、平成15年12月議会の一般質問でそのことを取り上げ、その内容等を被告が編集発行する広報誌及びウェブサイトに掲載した。この行為が原告らの社会的評価を低下させるものと認められた。


山森議員の主張の要旨

映画会社及び松井監督が行ってきた会計や決め事に対するルーズで無頓着な対応は、協力した市、企業、市民ボランティアに対する感謝と誠意にかける態度と言わざるを得ません。
議員が議会で疑惑を指摘することは本来の職務です。仮に名誉を毀損したとしても、議員が公共の利益のため行う場合は名誉毀損の免責事由にあたり、法で認められています。

町作り通信47号


判決(PDF)より疑念の要旨

平成13年7月1日から平成14年6月30日までの1年間(前半)の給与手当の金額が103万6360円であったのに対し、平成13年7月1日から平成15年6月30日まで(全体)の期間の同金額は2266万6611円と、前者と比べて2059万3891円増加していた。
そこで、被告は、他の役員の給与が含まれており、しかもその中には事業に携わっていない者がいるのではないかと考えた。

旅費交通費や一般経費が、後者の金額が前者のそれに比べていずれも大幅に増加していた。

前半では管理費として挙げられていなかった支払利息が、全体の損益計算書に突然現れ、その金額が292万5000円に上っていた。
被告は、映画「折り梅」に関係のない利息が計上されているのではないかと疑問を持った。

原告会社は、原告会社の平成13年度の収支、すなわち総勘定元帳のうち一部を平成13年度の映画「折り梅」事業の損益計算書に計上せず、他方、同年度の収支のうち契約料全額、並びに、支出のうち、役員報酬全額、旅費交通費の一部、一般経費の一部を平成14年度の会計として、実際に平成14年度において発生した収支と併せて計算し、これを損益計算書に計上した。


原告と被告のやり取りなど。

通知文

山盛議員の問題提起に対する説明

折り梅 損益計算書についての質問に対する報告書

回答書


Matimublogでは以下のように危惧しています。

しかし他方で、議会で何が行われ、どのような発言がなされているかについては、有権者として知る権利がある。本判決は、この知る権利に資する活動を、しかも疑惑追及という非与党の本分ともいうべき内容に関して、強く冷や水を浴びせかけることになった。


私は、今回の問題点を以下のように理解しています。
不十分な調査の元、自己の勝手な解釈を付加し、広報をしたこと。
補助金のチェックをする行政に対する、職責を糾す内容のみならず、製作会社への誹謗中傷を含む広報をしたこと。
抗議の通知に対して、不明な点を聞き返すこともなく放置したり、調査不足のまま自身の主張を繰り返し反論した。
当該記事へのリンクが切られている模様。
ブログを書きながら、サイト上に裁判などの記載がない。(自分の主張だけ声高に表明し、形勢の悪い部分は隠す、説明責任の欠如)

結局は、御自分の職責を逸脱したスキャンダルな要素を取り込んでしまったことと、調査力不足・調査方法の稚拙さなどが露呈した事件だったと思います。

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コメント

私は映画の制作と配給、上映の業態について知らなかったので参考になりました。

山盛議員はいかがだったのでしょうか、会社は映画を作るだけで、配給・上映という現実に収益源となる活動は実行委員会の方も加わって手弁当でやるという誤解があったのでしょうか。
補助金を出した自治体はその点をどう考えていたのでしょう。

補助金は1/3で、制作費の残り1億円は制作会社自身が資金調達し、しかも、その仕事だけができる規模の会社(並行して何本ものプロジェクトを動かせる会社では無いみたいですね)。
会社運営の日常の源資は過去の事業からもたらされる著作権使用料とかなのかな?

多くのプロジェクトを並行運用している大手企業に委託した時は、その企業の間接経費からプロジェクトへの経費算入は限られるでしょう。
そういう大手が昔1円落札みたいな事もやったように思えます。

しかし、この映画の場合は企業の直接費、間接費全てをこの映画制作の経費に算入せねば制作・配給そのものができない規模の会社だと考えておかしく無い中で、補助金を出し、収益配分も決めたと思います。
実際に2/3を自分達で調達して映画制作をやってのけた会社の力は凄いと感じました。そして有形無形の文化的資産を自治体に残してくれた訳ですよね。

過日の偽装メール事件のように表面的に紙の情報を読むだけでなく、システムの中の中まで熟知しないと、最初の補助金拠出、収益配分の契約すらできないはずの問題だったのでは無いかとも感じました。

NPOに関係する私としては、外部に何かの仕事を委託し収益配分などを取り決める時に、委託先がそれによって経営状態がどうなるかまで考慮に入れないといけないのだな、ということを学びました。

何かのプロジェクトをNPOとして請ける時には、先方と予算や決算の方法などについて最初に綿密なご説明とお打合せが必要だとも感じました。

この事件の本質的な問題は、最初に議会が補助金支出を決めた時に遡らないと見えないかも知れないというのも私の感想です。

投稿: kofu勝手連 | 2006年6月26日 (月) 14時34分

ご来訪、ならびにコメントありがとうございました。
今回の記事は、Matimublogの「情報公開に冷や水を浴びせかけない」危惧に対して、「本人の資質の問題」と切って捨てた記事です。
それでも一時情報をかなり拾ってきましたし、裁判の記録から、双方の言い分が読めたので、変な憶測を挟まずに書けたと思います。

補助金との絡みでは、興行収入が不透明なので、補助金の出し方は難しいと思います。
私も今、広告収入で名簿を作る作業に関わっていますが、仕様や契約のあり方を上の人が間違えたようで、仮契約が白紙に戻されました。

この裁判記録から、興行などに補助する場合のあり方などを考えてみるのも面白いかもしれませんね。
NPOでも、儲けが出た場合、損失が出た場合など想定して、その処理を考えてみるのも面白いかもしれません。

投稿: 聞きかじり | 2006年6月26日 (月) 19時27分

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